SEMINAR NOTES

不動産投資セミナーまとめ

2026年8月13日(木)21時台〜 / Zoom開催・約2時間半 / 主催「不動産投資ユニバーシティ」代表 志村氏(元・野村総合研究所、投資歴約15年、購入10億円超・平均利回り16%と紹介)

全体サマリー

前半は不動産投資の考え方と実務知識(物件選定・融資)の講義、後半は主催する有料講座「プロ不動産投資家養成講座」への入会案内という二部構成のセミナー。講義パートの核心はシンプルで、次の3点に集約される。

セミナーの核心メッセージ
  • 買うべき物件の条件は「キャッシュフローが出る」「相場より割安」「満室にできる」の3つだけ
  • 優良物件はポータルサイトには出ない。非公開情報のルートを持てるかが勝負
  • 融資には順序と戦略があり、自己流ではなく環境(コミュニティ・紹介)が成果を決める

※「環境が成果を決める」という論理は、そのまま後半の講座勧誘の根拠にもなっている構成。詳しくは末尾の「読むときの注意点」を参照。

Part1 前提と外部環境

資産の定義

経済学的な「資産」とは、中長期的(30〜100年スパン)に必ず価値が上がるもの。講師の定義では株・債券・不動産の3つだけがこれに当たる。株と債券は「中の人が働く」から、不動産は「建物が人の代わりに働く」から価値が上がるという説明。現金・金・仮想通貨・車・保険などは上下があり中長期の増加は未知数、という整理だった。

法則1

資産(株・債券・不動産)に投資すれば中長期的には必ず上昇する。大きな流れに乗るのが資産運用の基本。

講師の投資事例として紹介されたもの

手法紹介された内容
ボロ戸建て再生茨城の僻地物件を150万円で購入、リフォーム約100万円、500万円超で売却。利回り30%も可能で、自己資金が少なくても取り組めるという文脈で紹介
新築デザイナーズ都内・駅徒歩5分にコンセプト重視の新築木造を建築。利回り9%、売却すれば2,000万円以上の利益見込み
ボロ一棟再生築35年・入居率45%の地方マンションを再生し利回り20%超、年間利益700万円超
学生寮リノベ元女子寮をデザインリノベーション。仕上がり利回り22%超、13年返済でも年間CF800万円以上、売却益1億円以上の見込み

人生を豊かにする8つの条件と「環境」の話

お金・時間・人間関係・ライフスタイル・健康・自己成長・貢献などの8条件のうち、皆が起点と思いがちな「お金と時間」ではなく、実は人間関係が最重要だと主張。不動産投資では、教えてくれる人・物件や金融機関を紹介してくれる人・切磋琢磨する仲間の存在が成果を左右するという論理。

法則2

環境は成果を決める。講師自身も初期は失敗続き(設備不具合で150万円請求、偽装入居物件、不動産会社社長への貸金トラブル)だったが、学びの環境を変えて急成長したという自己紹介があった。

成功率は5%という主張

講師が445人分のデータを分析した結果として、「ダメな物件を買っている人が84.58%、優良物件を買えている人はわずか5.47%」と紹介。成功の定義は「空室率15%で計算してもキャッシュフローが一定水準を上回る」「相場より割安」「しっかり稼働している」の3つ。トランプ52枚からエースを引く確率(7.69%)より低い、という例えで、自己流の危険性を強調した。

ダメな物件
84.6%
優良物件
5.5%

スルガショック以降の業界環境

2018年のスルガ銀行不適切融資(1兆円規模)とかぼちゃの馬車事件、レオパレス施工不良問題などを経て、金融庁主導で一棟物件への融資は絞られた。「昔のままの認識・昔の手法では通用しない」「業者の騙しの手口は多様化」「勉強している二代目地主がサラリーマン投資家のライバルになっている」という時代認識が示された。

Part2 物件選定の3基準

物件選定で重視すべきはこの3つだけ。10年以上の売買と受講生の成功・失敗の研究から「もうこれしかない」と繰り返し強調された、セミナー中で最重要のポイント。

基準 1
キャッシュフロー
家賃収入から経費と銀行返済を引いた手残りが出ること
基準 2
割安感
相場より安く買う。目安は1割引き。買ってすぐ利益が出る物件
基準 3
満室にできる
満室にできるかは買う前のリサーチでほぼ決まる
逆に、重視しなくてよいとされたもの
  • エリア — 知らない場所でも問題ない。むしろ広く取らないといい物件に出会えない。物件は「選ぶ」のではなく「出てくるのを待つ」もの
  • 金利 — 低金利へのこだわりは幻想。プロは金利と利回りの差(イールドギャップ)で見るので、利回りが取れていれば3〜5%でも問題ない
  • 積算評価・築年・構造 — 古い考え方。いい物件はいいし、ダメな物件はダメ

キャッシュフローの構造

家賃収入を10割としたときの適切な配分イメージとして、次の数字が示された。返済比率を4割台に抑えたいという願望は「幻想」で、この低金利時代に自己資金を厚く入れて返済比率を下げることに意味はない、という立場。

銀行返済
5〜6割
経費
2.5割
キャッシュフロー
1.5割

さらに、返済のうち元金返済分は売却時に戻ってくる「貯金」のようなもの。つまり実質的な取り分は「キャッシュフロー+元金返済」であり、建物の減価償却による値下がりよりも元金の減りの方が速いため、持てば持つほど有利になる。だから不動産投資は早く始めた方がよく、5年持てばほとんど負けなくなるという理屈が展開された。

講師の売却事例

物件購入価格売却価格保有期間CF+売却益
築27年 RC5,600万円9,350万円8年5,750万円
築16年 一棟1億4,500万円1億9,500万円数年7,000万円
基本スタンス

売却益は狙って取るものではなく、基本はキャッシュフローを得ながら持ち続ける。割安に買ってあるからこそ、いい相場が来たときに売却という選択肢が生まれる。いつ売れるかは相場次第なので予測はできない。

優良物件の探し方 — 非公開情報が全て

楽待・健美家などのポータルサイト(1日5万件超の掲載)に頼っている限り結果は出ない、と強い調子で断言。買うべき5%の物件はネットにはなく、あっても「瞬間蒸発」する。優良物件探しは戦争であり、業者もネットに出る前から見張っている。

法則3

先行投資はしないといけない。情報・時間・ノウハウにお金を使う。年に1件でも優良物件が買えれば年間120万円の情報コストはペイするという費用対効果の考え方。

市況の見立て(価格・金利・融資)

講師は「まだ買い時」という立場。その根拠として挙げられたのは以下の通り。

テーマ講師の見立て
インバウンド訪日客はコロナ前とほぼ同水準まで回復。中国人個人客が戻る前でこの伸びなので、コロナ前超えを予想。都心部・地方中心部への投資が良い
不動産価格下がる兆候なし。建材費が大きく上昇し続けており原価が下がらない。新築供給はピーク時(2004年頃)の3割程度で、少ない新築が価格を形成し中古も引きずられる。東京の家賃も10%上昇
海外比較東京のハイエンドマンションは香港・台北・ニューヨーク(1.5〜2倍)と比べてまだ割安。ソウルに抜かれそうな水準はありえず、まだ上がる余地あり
金利低金利は続くとの見方。住宅ローンの大半が変動金利のため、4〜5%になると社会不安になり、金利を上げる政策は取りにくい(元タワー投資顧問運用部長の見解に賛成)。最悪でも10年で1%程度の上昇か
融資割合日本はフルローン・9割融資がまだ出るが「今だけ」の可能性が高い(米国の投資物件は50〜70%が普通)。だから今のうちにやるべき。講師自身も今年すでに5億円以上購入
インフレ止められない。融資を引く不動産投資はインフレ対策として有効

融資の知識と金融機関開拓

金融機関の現状

アパートローンとプロパーローンの使い分け

アパートローンプロパーローン
性質パッケージ型。年収による限度額・枠の概念があり、審査は短いオーダーメイド型。限度額なし、融通が利くが審査は長い
使う順序ほとんどの人はここから。1棟目にしか使えない商品を持つ金融機関が複数あるため、使う順序が極めて重要(壺に入れる順序の例え)2〜4棟をアパートローンで買い、枠を使い切ったら移行
必要なもの個人属性(年収など)決算書(3期連続黒字が目安)+事業計画書

事業計画書は「投資哲学」を語るもの

プロパーローンでは、成績表(数字=決算書)と内申書(定性=事業計画書)の両方が見られる。事業計画書には略歴・賃貸業への取り組み方・実績・購入物件の方針に加え、単なる金儲けではない「賃貸業を通じた貢献」を書く必要がある。信金・信組の存在意義は「地域社会の発展への寄与」なので、地域のリフォーム会社を使う、地域の人に快適な住居を提案する、交流の場を作る、といった地域文脈に合致する内容が刺さる。信金支店長いわく「半分以上は経営者の人柄・経営方針を見ている」。年収400万円台でメガバンクから好条件融資を受けた事例もあるとのこと。

金融機関の開拓は「紹介」が一番

Part3 投資戦略

どの金融機関からどの順序で融資を受け、どんな物件を買っていくかの戦略がないと、融資が途中で止まる。「いくらまで融資を受けられるか」という質問には「上限は基本的にない」と回答。ただし最適な戦略は個人属性ごとに異なるため、単発セミナーやネットで学ぶには限界がある、という位置づけ(=講座の個別戦略策定につながる伏線)。

受講生の実績として紹介された例

属性投資歴規模年間キャッシュフロー
40代・年収500万円4年借入3.5億円800万円
40代・年収1,200万円5年投資総額11億円1,800万円
30代・年収800万円6年投資総額20億円4,000万円程度
30代会社員・年収800万円4年投資総額4億円850万円(退職し専業に)
40代自営業(酪農)・年収300万円2年投資総額2.3億円600万円

※数字はすべて講師側の紹介によるもので、第三者による検証はできない。

推奨された進め方

年2棟ペースの購入を推奨。1年目2棟→2年目3棟→3年目で計6棟程度になると月50〜80万円のキャッシュフロー。ゼロからの人はまず「堅い物件」(入居付けが堅く難易度が低い物件)で大家デビューし、融資斡旋を受けてよい。2棟目・3棟目から自分で物件を探し、中級者以上になったらプロパーローンへ移行。順序は「環境構築・勉強・仲間づくり」が先で、購入活動はその後。

Part4 講座案内(セールスパート)

セミナー後半約1時間は、主催の有料コミュニティ「プロ不動産投資家養成講座」の入会案内。約9年運営、過去数百名以上が受講、8割は会社員とのこと。

講座内容

価格の推移(当日の提示順)

ベーシック会員(12カ月・個別面談と物件優先購入権あり)の価格は、セミナー中に段階的に下がっていった。

通常価格
148万円
即決割引
120万円
本日面談申込限定
98万円
ライト(6カ月)通常
80万円
即決割引
54万円
本日面談申込限定
45万円

クロージングで使われたロジック

質疑応答ハイライト

健美家で見ていた物件を2時間差で買えなかった
実際は買付順ではなく融資が下りた順なので、2時間差でもそもそも難しかった可能性がある。ポータルだけに頼らず、非公開物件のルート(不動産会社と仲良くなる、「あなたのために取っておく」関係)を作る必要がある。
父が「まずい物件」(ボロ物件、他人の水道管が敷地下を通りリフォームも解体も不可)を買ってしまった。リカバリー方法は?
解決策がない話はほとんどないので大丈夫。詳細は審査面談で、という回答。
スルガ銀行絡みの物件を3棟買ってしまいキャッシュフローが悪い。業者(購入直後に消えた)にも逃げられた
1棟は売却済み(決済待ち)。借り換えで金利を下げる方向も含め面談で相談を、という回答。
審査面談に通った後で受講をやめることはできるか
「決断ができない方はそもそも取らない」。面談の場で話して、その場で決めていく形式とのこと。
本業が忙しいので開始を遅らせたい
入会した上で開始時期を数カ月遅らせることは可能(1年後などは不可)。

そのほか、初心者へのアドバイスとして「最初は堅い物件を融資斡旋込みで買い、2棟目以降で自分の開拓に移行する」「融資条件は半年〜1年で変わる(例年4月に方針が変わる)ので、リアルな情報交換の場が重要」という補足があった。

読むときの注意点

講義パートの知識(選定3基準、CF+元金返済の考え方、アパートローンの順序、事業計画書の書き方、紹介による金融機関開拓)は、それ自体は不動産投資の一般論として筋の通った整理になっている。一方で、このセミナーは最終的に高額講座への入会を目的とした構成であることを踏まえて読む必要がある。

冷静に見ておきたいポイント
  • 典型的なセールス設計 — 段階的値下げ(148万→120万→98万)、「本日限定」、即決の要求、審査制による希少性演出、「迷う=会社員マインド」という決断への心理的圧力は、高額講座販売の定番手法
  • 実績数字は検証不可 — 受講生のキャッシュフローや成功率5%の分析、売却益の事例はすべて主催者側の提示で、第三者の裏付けはない
  • 利益相反がある — 講師は仲介会社を経営し、受講生に物件を販売・融資斡旋する立場。「中立的なアドバイス」と「自社物件の販売」は構造的に両立しにくい
  • 「必ず上がる」という断定 — 資産は中長期で必ず上昇する、5年持てばほぼ負けない、といった表現はリスクの過小表示。金利上昇・空室・災害・流動性リスクは実在する
  • その場で決めさせない — 98万円の即断を求められる場面こそ、持ち帰って比較検討する価値がある。返金保証の具体的な条件(期限・手続き)も契約前に書面で確認すべき